これは私の日記帳であり、箱庭であり――そして、帰る場所である。

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第二話『突如現れた王国でパシられるルナ一行』

  
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* 突如現れた王国 *

「刃神さん、リプレの周辺に突如現れた王国のことをご存知ですか?
 聞いた話では、その王国の空には逆さの城が浮いているらしいです。空に浮いている城だなんて、今まで一度も聞いた事がありません。
 ……それに、よりによってこの時期に現れたということは、暗黒の魔法使いと何か関係があるのではないかと疑ってしまいます。
 そこがどういう場所で、なぜ突然我々の住むメイプルワールドに現れたのか、調べていただけませんか?」


…………
……


 ある日、刃神ルナがエレヴを散策していると、ナインハートに声を掛けられた。
 どうやら〈オシリア大陸〉の中でも自然が豊かな〈ミナル森〉の一部地域に、突然、王国が現れたらしい。
 刃神ルナはナインハートに調査を依頼され、特に忙しくもなかったためそれを承認したのだ。
 どこかへ旅に出かけるときは、必ず《サポーターズ・トリニティ》も一緒である。新たに加わった青髪をした無口な少年、ノームサーナと共に、ルナ達五人は現場へと向かった。

「それにしても、王国が突然現れるだなんて……今までにない事件ですのね」
「ああ。異世界から転移してきたのだろうか? だとしたら私が元の世界に戻る方法も、見つかるかもしれないな……」
「…………」

 刃神ルナは、元々メイプルワールドの住民ではなかった。
 ある日、突然メイプルワールドへと転移し、〈ハヤト〉という肩書きを得たままこの世界に生まれ落ちた。
 しかし周囲の皆がその姿を、かつて生きていた魔法使い・ネバーメルトとどこか重ねてしまうのはきっと偶然ではないのだろう。
 性格も全く真逆の方向を向いているのに、どこか似ている部分があった。

 そして現地に着いた彼女たちの目に映ったのは、怪しげな雰囲気の漂う薄暗い森だった。無造作に置かれた石版には、見たこともない魔法文字〈ルーン〉が刻まれ、淡い光を発している。
 木の葉から差し込むわずかな月の光だけを頼りに、ルナ達は森の中を進み出した。

「な、なんだか不気味だな……」
「ななななんじゃお主……も、もしかして怖いのか? 情けない!」
「はぁ? そのプルプルしてる足を止めてから言えよ!」
「こ、これは筋トレじゃ!」

 《サポーターズ・トリニティ》の中でも強気な二人、翁加とフラネーヴェですらも、その場所の異質さに慄いていた。
 そこは、ただの薄暗い森なのに。正体こそ分からないものの、確かにそこには何らかの“違和感”が存在した。
 森の中には二人の言い争う声だけが響く。
 その時、視界の隅に、ほんの一瞬だけ青い光が反射したのを、ルナは見逃さなかった。

「伏せろッ!」

 その叫び声と同時に、茂みの奥から一本の青い矢が飛来する。それは確実にルナ達を狙っていた。
 ――敵だ。
 予想こそしていたものの、やはりここにもモンスターは生息しているようだ。

「あれは……弓ですの?」

 121302.png

 やがて現れたのは、青く冷たい光を放ちながらひとりでに浮遊する大弓だった。藤頭の部分には悪魔が乗り移ったかのような顔が現れ、恐ろしい眼光を放っている。
 そしてそこにいたのは弓だけではない。鈍器や剣、短刀といったあらゆる武器が、意思を持ったかのように浮遊し、ルナ達に襲い掛かる。

「まずい、一旦逃げるぞ!」

 彼女達には弱点があった。
 なぜか、みんな同時に動けないのである。誰かが動いている時、必ず他の者は止まっている。なので斧百合が〈マジックシェル〉という魔法防壁を形成し、誰かが一気に安全な場所まで駆け抜ける――といった動作を何度か繰り返すことで、ようやく進めるのだ。
 なぜだろう。それは中の人のみぞ知る。

 しばらく走ると、人為的に設営されたであろうテントが見えた。

「ふう……ここなら安全そうだな」

 ルナ以外の四人達には、戦う力も無ければ体力も無い。ひざに手をつき、肩で呼吸をしながらも、一時だけ得られた安全に安堵の息を漏らす。
 しかしそれも、一人の怒声によって一瞬に打ち破られてしまう。

「な、何者だ、貴様らはッ!」
「え、えっ……」
「怪しいものが〈クリティアス〉に踏み入る事は許されん! 立ち去れ!」

 全身に鎧をまとった兵士が、槍を構えつつ声を荒げて言った。


* 部隊長の許可 *

「これは何の騒ぎだ……。敵襲か?」

 騒ぎを聞きつけたのか、奥からもう一人別の兵士が現れた。その風貌から、このあたりの兵士をまとめる人物である事は想像がつく。

「私達はエレヴから来た。私の名は刃神ルナだ」
「ふむ、エレヴか……。だが、その話を鵜呑みにして怪しい者を入れるわけにはいかない」
「……私達は決して怪しい者ではない」
「私が魔法使いだったら、君達が嘘をついているかどうかなど、すぐに分かるのだがな……。残念ながら私は軍人、君達を信じるかどうかを決めるにはそれなりの手段が必要だ」
「手段……?」
「この一体はおぞましいモンスターで溢れかえっている。ここに来る途中に見ただろう」

 意思を持ったかのように蠢く、武器の形をした物体。兵士が言っているのはそれのことだろう。
 
「以前は居なかったのに突如現れて……。この手で退治したいのはやまやまだが、兵士がみんな逃げてしまってな。街の守備だけで手いっぱいなんだ」

 その後の言葉は、容易に想像が付いた。これは、この世界特有の“オモテナシ”……『OTSUKAI』だ……。
 なんだ、またか……。そう思いつつ、ルナ一行はげんなりした表情を見せる。

「そんなわけで君達があのモンスターを退治――」
「わかった。いってくる」

 ルナ達の戦いが始まった。
 必要なのは、折れた剣刃(青)が50個、落ちた取っ手(青)が50個、壊れた柄(青)が50個……。これが一人前なので5人あわせて各250個。
 非常に骨が折れる作業だが、部隊長の信頼を得るためだ。仕方のないことである。
 だがこれも彼女達にとっては手馴れたことで、アイテムを集めるのにそんな時間は要さなかった。

「意外とすぐに集まったな」
「ま、わらわが居ればこれくらい造作も無いわ」

 今回の依頼はアイテム回収だったため、唯一戦闘出来るルナが人数分集めた。翁加は一切戦闘には加わっていないが、彼女の陰陽術の一つに、地脈を走る霊力を増加させ敵を密集させるといった力がある。
 ゆえにアイテム収集の効率も倍になり、ルナ達は言われたアイテムを十分ほどで集めてしまった。翁加のドヤ顔がまぶしい。

「おい、兵士。持ってきたぞ」
「意外と早かったな。物の状態も良いし、いいだろう。お前達を私の部下にしてやる」
「部下になるために働いたのではない。もう街に入ってもいいか?」
「……いや。まだ物足りないな。もう少し戦利品を集めてきてくれたら許可をしてやる」
「な、話が違うぞ!」
「ははは。お前達が持ってきた戦利品が重要な任務にも使えそうでな! だがそれだともっとたくさんの材料が必要なんだよ。それさえ終われば今度こそ街に入る事を許可しよう」
「仕方ないな。……行くぞ、翁加」
「実に頼もしいな! それこそ軍人の手本というやつだ」

 ――必要なのは、折れた弓(青)が80個、割れた装飾(青)が80個。これが一人分。5人あわせて各400個。
 ……街に入るためだ。仕方が無い。街に入らなければならない理由が、彼女達にはあったのだ。
 刃神ルナと翁加は再び森の中へと入っていった。

「よし……あと、400個……」
「ヴァ……」

 森で狩りをしているとき、翁加の様子がおかしいことにルナは気づく。
 虚ろなまなざしでどこかを見つめ、ヴァ……ヴァ……と呻いている。

「おい、翁加。大丈夫か」
「ん、あ、ああ……。なんでもない。さっさと集めるぞ」
「……?」

 その後も、翁加は時折「ヴァ……」と呻いていた。その度にルナが声をかけるのだが、すると何事も無かったかのように元に戻る。
 そしてようやく、依頼されたアイテムを集め終えたのだった。

「持ってきたぞ」
「おお、君達の帰りを待っていたぞ」

 ――さすがにここまでやって、入れてもらえないという事はないだろう。
 ルナ達は皆、そう考えていた。

「うんうん、いいぞ。さて、次は何を頼もうかな」
「ファッ!?」
「おいこらてめェ! いつになったら入れんだよいい加減に――」
「イザク様! ブンデル閣下からの伝令です!」

 フラネーヴェはとうとう我慢の限界がきたようで、兵士に怒声を浴びせたが、それは途中で他の兵士の慌てた声によってかき消されてしまった。

「あぁ? ど、どうした」

 兵士はイザクに耳打ちし、ブンデルと呼ばれる者からの伝令を伝えている様子だった。
 
「……わかった。お前は持ち場に戻れ」
「はっ!」

 イザクは兵士が戻っていくのを見送ると、「ふぅ……」とため息を吐く。
 
「一体どうしたんだ?」
「それがな、君達の噂がいつの間にかブンデル隊長の耳にも入ったらしい。君達に直接会いたがっておられる」
「ほう……。隊長、か」
「ああ。〈クリティアス〉の有する兵隊の長、ブンデル様は北の幕舎におられる。ぜひ、会いに行きたまえ。……しかし、隊長が会いたいと仰るとは……。もう、許可などどうでもいい。幕舎へは北の森を通ってもいいし、街中を通ってもいけるぞ。さっさと行ってしまえ」

 どこかイザクが残念そうな面持ちだったのは、しばらくルナ達をこき使うつもりだったからだろう。

「どうしますの?」
「……行くしかないだろう。ここがどんな場所なのか、まだわからないし。王国の内部がどうなっているのかも気になる」

 それに、まだ彼女達は“最大の目的”を達成していない。

「――会いに行こう。ブンデルに」

 ルナ達は王国の北へ向かって歩き出した。その目に映る空には大きな穴が空き、逆さになった城が顔を覗かせていた。


 続く!
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[ 2015/12/13 20:09 ] メイプルストーリー クリティアス | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

オノユリス!

Author:オノユリス!
1993年10月11日生まれ。
性別は男です。

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